佐野川茶
Sanogawa Japanese Tea

佐野川茶
〜“自然に祝福された茶畑”が育む逸品〜

高尾山から陣馬山へ続く奥高尾。そこに位置する神奈川県相模原市・佐野川地区は、県の品評会でも上位への入賞が常連の、知る人ぞ知る上質なお茶の産地です。美味しいお茶に欠かせない甘みと旨味は、意外にも茶葉が日光を浴びると失われていってしまいます。佐野川の段々畑には朝霧が立ち、直射日光から程よく茶葉を守り、それが佐野川茶の個性になっています。段々畑の景観は日本の里100選にも選ばれるほど、のどかで美しいですが、いざ畑に入ってみると斜面は驚くほど険しく、重労働は避けられません。雨が降るだけで肥料が流れ出すといった過酷な環境ですが、隅々まで行き届いた手入れが品質を支えています。

重労働に加え、後継者不足という課題があっても「佐野川でしか育たない味のために」と佐野川茶を作り続ける茶農家さんは、ここの地形と気候に惚れ込んでいるのでしょう。人工的には作り出せない、まさに“自然に祝福された茶畑”と呼べる場所です。

佐野川茶の味わい

佐野川茶の味わいは甘みと旨味を特徴とする点で玉露に似ていると思われがちですが、茶葉の栽培方法や栽培地の違いを知ると両者の違いをもっと愉しむことができます。玉露は平地でも育てることができ、茶葉に甘みと旨味を残すために人の手で茶畑に覆いを作って日光を遮るのに対し、佐野川茶は自然の朝霧が同じ役割を担います。佐野川の茶農家さんがまっすぐ立つのもやっとな山間の急斜面が、茶葉が美味しく育つには恵まれた環境なのです。

玉露を「贅沢を極めた味わい」とするなら、佐野川茶は「自然体の明るさをまとった美味しさ」と申し上げたいです。どこの産地の玉露でも、旨味を想起させる海苔のような香りと凝縮感が玉露には共通していますが、佐野川茶からは煎茶には珍しい花のような香りが立ち、甘みと旨味がありながらも開放的で軽やかな後味が特徴です。
寿麹庵で外国からのお客様にお出しした際も、「素朴でバランスが良い」と好評で、その飾らない魅力が伝わったと感じました。

佐野川茶と寿麹庵

寿麹庵が佐野川茶を扱うことになったのは、不思議なご縁がきっかけでした。懐石料理店として開業後、通年で提供できる地元の良い食材を探す中、偶然にも佐野川茶に出会いました。生産者を訪れた際、茶畑の畝には寿麹庵の茅葺屋根の葺き替えで出た古い茅が敷かれていることを知りました。長年屋根を守ってきた茅が、今は茶畑でお茶の木の根を守っていたのです。「美味しい料理には最高の佐野川茶を」と農家さんから託していただけたのは、この特別なご縁があったからこそだと感じています。

佐野川茶グラン・クリュ
〜最高の一杯のために〜

寿麹庵では、季節や器が変わっても佐野川茶を美味しくお出しできるよう、スタッフ全員で淹れ方を研究しています。茶葉の量や湯温を細かく調整し、その時々で最も美味しい淹れ方を探るのは思いのほか手間がかかりますが、楽しく、わくわくする時間です。
料理長の料理とともに、素晴らしい個性をもった佐野川茶を大切にお届けしたい。それが私たちの想いです。

JUKOAN Sanogawa Tea Grand Cru
佐野川茶の産地は寿麹庵にほど近く、地形や気候に恵まれて品質の良いお茶ができることで知られています。その中でも特に優れた茶畑で収穫された最高品質の佐野川茶は一般には流通しておらず、寿麹庵だけで扱っております。生産者のご厚意によって特別に商品化できたことに感謝し、ワインのブドウ畑の最高を意味する「グラン・クリュ」を呼称にして、最高品質に敬意を表しています。通販は行っておりませんので、寿麹庵にご来店くださったお客様のお土産として大変おすすめです。
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